カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.23 帰国が近づく
 ちょうどその頃、ボクは帰国することを決意しました。トラベラーズ・チェックも少なくなってきて、帰りのチケット代として銀行にいれていた約$1000をおろしてチケットを購入することにしました! 安いチケットを求めてダウンタウンを歩いたり日加新聞をチェックして決めたのはヤング×ブロアから南に少し歩いて小道を東に入った場所にあるお店。近くに1$ショップがあったり、日本食品店やお弁当屋があったのであのあたりはよくブラブラしました。 たまに韓国人の知り合いにばったり合ったりするのも近くに大きな図書館があるからでしょう。週1日は日加タイムズを買って、弁当を食べて、1$ショップの隣にあるセカンドカップで買ったばかりの新聞を読んでいました。 航空券はというと、日本人スタッフが居たのでなんの苦もなく予約出来ました。帰国日はセプテンバー・イレブン・・・英語で読んでいると普通の平日としか思っていませんでした。 この日はガラガラだとお店の人は言う。。。「何故?」そんな疑問も持たぬまま、帰国日をサイバーカフェのオーナーに知らせたところ・・・

「SEPTEMBER!ELEVEN!!!!!!??」

そこでボクはようやく、自分の帰国日が悪夢のテロ9・11が起きた日のちょうど1年後だと言うことに気付きました。9月11日と言えば分かっただろうに、セプテンバーイレブンじゃ気付かないなんて!!! 「店の人も一言言ってくれればいいのに!」・・・もうキャンセルが出来ないためボクは覚悟を決めました。まぁ絶対に何も起こらないとは思っていましたけどね。

 帰りのチケットさえ買ってしまえば残りの1月弱は気楽なものでした。「できればまだトロントに居たい」という気持ちも航空券を買ってしまえばそうは言ってられませんからね。 さてデビッドの家に遊びに行く日が近づいてきていました。当日、午前11時頃に伺う予定。やはりカナダのミュージシャンも朝はのんびりしているんですね。 彼は夏場に大学等でギターを指導して、冬場はほとんどOFF。自分の活動のみという生活をしている。夏場にはよくb>「Things are little bit crazy here!」とよくメールがきます。 彼は大学へ行く前の時間を取ってくれました。ボクはいつものように時間よりだいぶ前に最寄駅に到着。デビッドには「バスで来た方が良いよ」と言われましたが歩きました。 ギターを持って歩くのは慣れたもの週に4日も5日もパトリックの家までハードケースを担いで片道25分の道を歩きましたから。それにカナダの家を眺めながら歩くのが大好きでした。軒先に居るリスは見ていて飽きないし、それぞれの家の作りがまるで毎日バーベキューパーティーをしているかのような家に見えていました。 (実際そんな家はどこにもないでしょうが)1時間も早く着いてしまったボクは近くの公園で寝転がって青く高い空を見ていました。 小鳥のさえずりが聞え、数十分に一回自分の視界を飛行機が横切っていきます。一人、空想の世界に入るのは慣れたものでした。時間が迫りデビッドの家のドアをたたく。

コンコン!「Hello?」
コンッ!コンッ!コンッ!「Helloooooo?」
応答がない・・・家を間違えたかと思いドアに背を向け考え込んでいると後ろから「Hello!」・・・突然声をかけられたのでビクっとしながら振り向くと バスタオルを肩にかけたデビッドがたっている・・・しかも笑顔だ!出たよ!このカナディアンのルーズさ。「ごめん、ごめん、シャワー浴びてたんだ」ってもう約束の時間過ぎてるのに!! 入口近くの部屋へ通されるとそこにはアップライトピアノ、フェンダーのアンプにアコースティックギター。壁には何本かエレキギターが飾ってある。そして、反対の壁にはデビッドのセカンドCDのジャケットと同じ絵が飾ってありました。デビッドの奥さんはイタリア人の画家。 デビッドのCDのジャケットデザインは全て奥さんが描いたらしい。ん?どこかで聞いた話だなぁと思ったらスティーブの奥さんも画家でスティーブのCDのジャケットも全て奥さんの作品。この組み合わせは流行りなのか?と思ってしまいましたよ。 そして当然のように、転がったビール瓶がとても汚らしい。いえ、好感が持てます。なんか憧れてた自宅スタジオって感じ。デビッドは奥さん作の絵を指差しながら「あれは巨大なレコードなんだよ!」とジョークを交えつつ、ボクのギターをじっくり見ていました。 日本製のギターなんて見たことないでしょうから。一緒に演奏する前に貸してあげたら「There is no greater love」を弾いてくれました。続いて、5曲ほどデビッドとセッション。ホント楽しかった!デビッドの曲も演奏したのですが、8分の7拍子・・・リズムを失いまくりました。 「お前は将来もっと良くなるよ」そう温かい言葉も貰い大満足。6曲もやればあっという間に時間が来てしまいました。演奏に集中していたためその時間んはかなり短かかったです。 最後に近々あるREXでのライブに遊びに行くことを約束してデビッドの家を後にしました。
 家に帰ったボクは再び練習ばかりしていました。すると、電話が・・・・・・・・。
「Hello」と出ると受話器から騒がしいおばちゃんの声が「ヒョンピョ??ヒョンピョ?」と叫んでました。普段リー、リーと呼んでいたから受話器の向こうのおばちゃんがヒョンピョって言っているのがおかしくてたまりません。 リーが言うには「リー」は苗字らしいので、イングリッシュネームのアイと呼んで欲しいらしいのですが言いにくいから、そう呼ぶことはほとんどありませんでした。でも同じ韓国人からはやはりヒョンピョと呼ばれていましたね。 電話越しのおばちゃんはリーのお母さんなんですが英語が通じない・・・・。どうしろって言うんだ。少しの間リーの帰ってくるであろう時間を説明しましたが先に諦めたのはリーママの方でした。 しばらくして帰ってきたリーはかなり御機嫌なご様子。髪の毛にパーマをかけ、白を基調としたシャツとパンツがなんとも懐かしい。見た目はもう完全に80’sです。どうやら今夜はデートらしいのだ。 いままで、集団でしか遊んでいなかったのが今日は2人きりらしいのです。 女性と付き合ったことのないリーはサイバーカフェのオーナーの奥さんポーリングから「キスの味を覚えた方がいい」ってからかわれていました。でも今日のリーは自信に満ち溢れているように見えましたね。 さて、気になるリーの恋の行方と、残りの1ヶ月弱のトロント生活話に乞うご期待。


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