カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.12 新しい友達
 さてユースホステルでは、その間も色々な事が起こっていました。すっかりマイ・ルーム化している部屋には、もう一人の長期滞在者がいました。 韓国人のリーです。彼はいつも昼間っから寝ています。たまに外でタバコを吸っているのを見かけるくらいで、他の時間で彼に会うことはありませんでした。 大きな旅行カバンを持っていたので、長期滞在だと最初から思っていましたが、ボクとリーはしばらくの間、ほとんど話しませんでした。
 ベッドの配置は入り口側のベッドの下段にボク、上は短期滞在者、中央のベッドも短期滞在者ですが居ない事が多かったなぁ。奥のベッドの下にタカで、上がリー・・・イエロー・ルームです。 ある時外出して戻ると、タカのバッグが鋭利な刃物で切られていました。タカは図書館へボクは練習に行って居た為、不在時に誰かがやった!怒り爆発です。 幸い取られたものはありませんでしたが、タカは紙に「誰かが私のバッグを切りつけた!注意」とドアに貼り付けました。 その警告は有効だと感じましたよ。しかし、本当にひどい。その時、長期滞在のうちら3人以外は1人いただけだったと思います。それも太った爺さんで怪しかったのですが、 一番怪しいのは清掃の黒人の姉ちゃんだとボクは思っていました。この時のタカはとっても勇敢でしたよ。ボクもとても人事のようには思えず何も出来ない自分に腹立たしかったのを覚えています。何の証拠もないのにボク等はどうすることも出来ません。ただ、新しく泊まる人にそれを引き継ぐこと 警戒を強めることしか出来ませんでした。その日の夜は幸い日本人の方が2名ステイしました。彼等にその話をすると、「気を付けないとな!」と言いながら、「直してあげるよ」っとソーイング・セットでタカのバッグを縫ってくれました。 素敵な男性達でカッコ良かったですね〜。英語はいまいちらしいけど・・・。

 「そんな危険な部屋に高いギターをどう置けばいいんだろう?」

 とボクは真剣に悩みました。いつでも持ち歩く事は不可能に近い。 そりゃ、その方が安全だけどボクの体力にも限界ってもんがあります。という訳でボクはベッドの下にロックをかけたハードケースの取っ手部分と2段ベッドのパイプをワイヤーロックで繋ぐことにしました。 こんなこともあろうかとワイヤーロックは日本からの持参品。質が違うでしょ!(made in chinaだったりして?)
 この頃からでしょうか、ボクはリーとも頻繁に話すようになりました。ユースホステルには日本人も多いけれど、韓国人も沢山いました。 リーのファースト・ネームはヒョン・ピョというらしく、その名前に失礼ですが「クックックッ」と笑うボクでありました。そして、もっと可笑しいのが彼のENGLISH-NAMEです。

「俺の事をアイと呼んでくれ、俺のENGLISH NAMEなんだ」

続けて彼はこう言いました。

「アイが日本語でLOVEの意味だって知ってるよ」

「こいつは確信犯だ!」とボクは思いましたね。わざとアイという名前にしたんだってね。彼のアイは<eye>でも<ai>でもなく<aye>だそうな・・・どれも一緒じゃん?リー曰く、この名前は日本の漫画から取ったそうな・・・言われて見ればそんな漫画があった気がする
まぁまぁ、そこはポーカーフェイスのボク(^^)「へぇ〜」と言いながら流しました(笑)リーはトロントへ語学を勉強しに来たそうです。遠い親戚がトロントに住んでいるらしく、また現在部屋を探している為に長期滞在になっているとの事でした。 そして彼は韓国の東大クラスの大学を卒業しているらしいです・・・・自分の事で一杯一杯で自慢話は聞きたくないボクはやはり流すことに・・・(^ー^)
 タカはといえば、再びアメリカに入国する為アメリカのホストファミリーと何度も連絡を取っていました。本人曰く、トロントに居る間は勉強を結構サボったらしい。相変わらずコーヒー好きです。

 そんなタカとリーはリーの友達も連れてナイアガラへ明日行く予定を立てていました。ボクは残念ながらパトリックと会う予定がありました。でもボクは観光がしたくてトロントに行ったわけじゃないので、正直な所「無駄なお金は使わない」と心に決めていました。

 翌朝、パトリックの家でリハをするのかと思いきや、車に乗り込みました。後部座席にはしっかりとフェニックスが座っています(笑) パトリックの運転する車はスルスルとホームセンターへ・・・・「一体何をするんだ?」ボクにはさっぱりです。
車を駐車すると「買ってくるから待っててくれ」とボクとフェニックスを残し・・・エアコンも切って行ってしまいました。密室で巨大なワンコと2人っきり、狭い後部座席で窮屈そうにしているフェニックスは少し可哀想でした。 フェニックスも置いていかれたのかと心配そうにしてます。言葉がうまく通じないボクもフェニックスと大差ありませんよ。
 待っている間、フェニックスと話をしていました。お題は勿論パトリックについて!しかも日本語でね(笑)
「パトリックは何を買いに行ったんだろうね、フェニックス」
「・・・・・」
「おまえも英語は話せないのかい?」
「・・・・・・・」
「しかし暑いよね、車の中は!ねぇ、フェニックス?」
「・・・・・・・」
「・・・そうか・・・良い子だ、フェニックス・・・」
そして後部座席の足元に置いてあるギターを見た瞬間

「あ”〜〜〜ヨダレだらけ」

車内のあまり暑さにフェニックスはヨダレをたらしてしまってました。
パトリックが戻り、また家に戻るとご飯をご馳走してくれました。ポテトとサンドウィッチです。
しかし、そのポテトの味が気に入らなかったパトリックは・・・・

「こんなのいらない!」

とポテトを捨ててしまいました。・・・やはりボッチャンだと確信したボク。
その代わりにと、パトリックはバナナ・トーストなるものを作ってくれました。作り方はいたって簡単!焼いたパンにマーガリンを塗り、輪切りにしたバナナを乗っけるというシンプルなもの。
子供の頃によく食べたんだよってパトリックは言うけれど、ボクは既に大人です!その味は今まで食べたことがない不思議な味でとてもおいしいと言えるものではありませんでした。それでも、サンドウィッチはおいしかったので満足。あのポテトも欲しいくらいでした(やはり苦しい生活だなぁ)

さて、フェニックスを残し、車に乗り込むとすぐに高速に乗りました。どうやら場所はやっぱり違うらしいのですが、 地理が分からないボクは何を言ってるのかさっぱり理解出来ませんでした。車は先日の北京ダック店とは逆の方向へと向かいました。空港から来た道です。 何度みても、巨大な高速でした。パトリックの車はアメリカに居た頃に買ったもので、マイル表示のためボクは車がどのくらいの速さで走っているのかも分かりませんでした。
 高速を降りるとそこには巨大なトラックがずらりと並び、高い建物はほとんどない場所でした。そこにドラマー:クリスの家がポツンとありました。 この家もまた羨ましい場所にありました。高い建物がないけれど芝生に覆われた美しい眺め、フェンス越しには巨大トラックが海外っぽい。空港に近いので飛行機がかなりの大きさで見ることが出来ました。
あいにく、クリスはまだ家に戻ってきてなかったので、じっくりと時間をかけてその風景を楽しむことが出来ました。
 クリスが到着すると簡単に自己紹介をしましたが・・・なんだか冷たい。パトリックが言うには季節の変わり目で体調を崩しているんだとか。風邪ではないのかな?
2枚ドアの玄関はボクがイメージする「海外の家」そのものでした。ぐちゃぐちゃのキッチンを通り、地下のベースメントへ。ビール瓶が転がっていたり、ケーブルが乱雑に置かれている中にドラムセットにギターアンプ、ベースアンプ、マイク・スタンドが置かれていました。 「汚いけれど、こんな所に住んでみたいなぁ」と思える場所でした。集中して練習出来そうですしね。
 セッティングをして演奏が始まるとボクの関心は一点に集まりました。それは「クリスはパトリックの曲を楽しんで演奏しているのだろうか?」という疑問でした。 暗いムードの曲が続きましたが、1時間ほどでリハは終了しました。・・・ボクの今までの経験ではあまり意味がなかったようなリハでした。また1時間程度で終わったのはクリスの体調も考えてのことだったと思います。
 その日の帰り、パトリックからレコーディング・スタジオの予約を取ると聞かされました。それにしてもダウンタウンから離れたトロントは素敵な場所でした。 


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