カナダ放浪記



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Vol.25 最終話 HPへ戻る
 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.25 残りわずか
 その後のリーはボクにもあまり心を開いてくれなくなりました。 明らかに鬱の状態で、毎日毎日彼女のことを日記に書くようになりました。また夜な夜な外出していました。(本人はインターネットカフェへ行っていると行ってました。) 最初のうちはサイバーカフェに行ったのだと思っていたけれど、サイバーカフェのオーナーから「最近リーは元気?」と聞かれリーが別の場所に行っているのだと確信しました。 また、この頃からリーのとっても悪い癖にボクはずっとイライラして悩まされました。口を閉じたままストローで吸うように息を吸うと歯と唇の隙間で「ちゅ〜〜〜」という音がします。
それをず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っとやってるんですよ。!! TVを見る時は勿論、彼女への日記を書くときも、寝る前も、そして驚いたことに寝てる時もず〜〜〜っとしてました。 最初は温かい目で見ていたのですが、1週間もすると耐えられなくなって「それは悪い癖だよ!」と言いました。するとリーは「これは昔からの癖なんだ・・・マムも同じ癖を持ってるんだ・・・」 って治してくれませんでした。そして夜中に帰ってきては睡眠薬を飲んで寝る生活を繰り返していました。

 さてさて、音楽の方はというとGATE403へジャムセッションへ行きました。狙いは勿論、ホストのロンデイビスに会うためにね。 店に到着し席につこうとすると、ロンらしき男がいきなり話しかけてきました。どうやらスティーブがボクのことを話したらしく「君がこの前スティーブと会った日本人かい?」と・・・。 そう話し始めた瞬間、後ろに座っていた2人の老夫婦は「He is great!」とロンに紹介してくれました。そう、スティーブの時にも一番前に座っていた老夫婦です。2年後の2004年に再びGATE403に行った時にも一番前に座っていて再会を喜びました。 そう紹介されるとロンは「知ってるのかい?」と老夫婦と少し話をしてまたボクのもとへ戻ってきました。この頃になるとボクは自己紹介をするのが随分と上手くなりました。そりゃ、何十人に話してれば上手くなるさ。自分が何の為にカナダにいるのか?を説明すると早速ロンにステージ(というほどのステージではありませんが)引っ張りだされました。 ロンはベーシストを連れてきていて、スタンダードを何曲かやりました。集中して演奏していたので気付けばGATE403には沢山の人で賑わっていたので驚きました。 これもロンの人柄なのでしょう。ミュージシャンもサックス、トランペット、ギターと集まっていました。ボーカルは特に多かったですね。 ボクはファーストセットの間中ずっと弾いていました。会話が全て英語なので、曲名とキーだけはしっかり聞いておかなければ全くついていけません。 実際1曲全く知らない曲があって、演奏が始まってロンに「この曲はなんて曲?」って聞くと「E♭」と叫ばれました。。。ヒントはそれだけ・・・厳しかった・・。 しかし、ここトロントでは日本のように「若いから」といって演奏を聴いてもらえないことは一度もありませんでした。みんなが受け入れてくれるからボクも必死になる。 若造だからとか、日本人だとか、プロだアマだとか、そういった偏見なく純粋に音楽を聴いてくれて乗り切れなかった時は仲間は「良い仕事をした」と励ましてくれるけれど、お客さんの反応は少ない。 でも、良い演奏をしたときはまるでスターになったように絶賛を浴びる。こんなクリエイティブな音楽を演奏する場所にずっと居たいと思ったものです。 そして自信のなかった自分の技術でも、通じるんだ!と思いました。また自分のスタイル、そして出す音に自信を持つことで演奏が大きく違ってくるもののだと思いました。 また別の機会には海軍の帽子を被ったサックス吹きの親父とDUOをやりました。なぜか皆、この親父とやりたがらない。。 たしかに上手いとはいえないけれど何かありそうな感じでした。。。。 後日パトリックにこのDUOのことを話すと「その男は太っていただろう?」「その男は海軍の帽子を被っていただろう?」って。何で知ってんの?ってかなり驚きました。 どうやら、このサックス吹きはトロントでも有名な「下手なサックス吹き」だそうで皆知っているそうです・・・そんなことで有名になりたくないなぁと思ったものですが、その情報が伝わってしまう狭いトロントが好きだなぁ。 トロントの街を歩いていると友達に会う確率がやたらに高いですからね。
 話はセッションに戻します。ロンに聞くとこの日はいつにもまして沢山の人が集まったらしく、バンクーバーから女性のギタリストが来てました。小柄で可愛かったので少し話そうとしたのですが、興奮しているのかトイレに行きたいのか「sound's great!」と言ってくれた以外は早くて聞き取れませんでした。 何を興奮していたのでしょうね?若いトランペッターはプリンスエドワード島の出身らしく、私に赤毛のアンを熱心に説明してくれましたが、それが赤毛のアンのことだと分かるのに数分かかりました。 あちらでは、外国人同士だと意外に英語は通じるのにネイティブ相手だと上手く伝わらないことがありました。そして、知的な人ほど私が聞き取れなくても違った言い方で何回も説明してくれました。 帰りはロンに車で送ってもらいました。この頃、ロンはまだ弁護士として働いていたんですよ!

 昼間は割と時間があったので、残ったお金で観光をしようかとも思っていました。 リーと相談してレンタカーでどんどん東へ行こう!話していたのですが、よく考えるとボクにはまだ日本に帰って生活をしなければなりません。 地元愛知には絶対に戻りたくなかったし、帰りもトロント〜成田間しか取っていません。東京に家があるわけでもありませんでしたから その時のためにお金を取っておく必要があったので諦めました。少ない資金で行ったために最初からそこは諦めざるを得ない部分でもありました。 しかし、トロントに来た数ヶ月で家はあるけれど生活レベルは一気に下がりましたから。たくましくなりましたね。 帰国日まで残り1週間となり予定が詰まってきました。スティーブと会うこと、またロンに会いに行くこと、そしてサイバーカフェのオーナーがボクの為にお別れパーティーを開いてくれました。 そしてカナダで一番お世話になったパトリックにも会う予定もあり、毎日が忙しくなってきましたが1日1日が経つに連れ、慣れてきたトロントを離れたくなくなってきました。 やっと、生活にもなれたのに!やっと、友達も沢山出来たのに!やっと音楽的にもやっていけると思っていたのに!


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